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山梨学院―沖縄尚学 五回表山梨学院1死一、二塁、安打を放ち、一塁上で喜ぶ梅村=大山貴世撮影

(21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 沖縄尚学5―4山梨学院)

 1点を追う九回、2死走者なし。3番・梅村団主将(3年)が打席に立った。「まだ勝負できる。チームに勢いをつけてやる」。目を見開き、沖縄尚学の2番手・新垣有絃投手(2年)をじっと見つめた。

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 2ボール2ストライクと追い込まれた5球目、落ちる変化球を捉えた。遊撃方向への強烈な打球で、内野安打にした。意地の一振りだった。

 2年連続で夏の甲子園への切符を逃した昨夏の山梨大会後、吉田洸二監督は「打てるチーム」をつくると決めた。チーム作りの中核として、主将に指名された。リーダーシップと精神力の強さを買われた。

 「つながり」を大切にしてきた。試合に出る選手が監督やコーチから受けた指導を、ほかの控え部員とも共有し、チーム全体で目標に突き進む一体感を作り上げた。

 昨秋から、これまで以上にチーム全体でウェートトレーニングに取り組んだ。日々の成果を練習グラウンドのベンチに張りだし、競い合った。「みんなで一球に向き合う意識が生まれるようになった」。選手たちの下半身が春には一回り大きくなり、夏には上半身が分厚くなっていった。

 今大会、準々決勝までの3試合はすべて2桁安打。うち、3回戦と準々決勝は2桁得点を奪った。好機で打線はつながり「打てるチーム」は見事に開花した。

 「こうすれば夏の甲子園で勝ち進めるぞ、という姿を後輩たちに見せられたと思う」。夢舞台を去る主将は涙をぐっとこらえ、誇らしげに語った。

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